2018道路交通法 罰則再確認!!
【あおり運転・ながらスマホ】
走行中のスマートフォン使用による【ながらスマホ】や、悪質な幅寄せ・蛇行運転などの【あおり運転】による事故が年々増加しています。
悲惨な交通事故を撲滅するために、道路交通法が検討・改正され以前よりも罰則が厳しくなったのはご存知でしょうか?
【ながらスマホ】による事故の実態と罰則
携帯電話やスマートフォンが普及し、今では私達の生活に欠かせないものであります。
着信があればすぐに返信をすることが当たり前のような傾向にあるので、運転中でも反射的に携帯電話・スマートフォンを手にしてしまうのではないでしょうか?
たとえ、スマートフォン用の車載フォルダーなどで固定してハンズフリーだとしても、走行中に画面を見ることは違法行為になります。
カーナビやカーテレビでも同様です。
スマートフォンが普及したことによりSNSや、話題になったポケモンGOのようなゲームの活用が増え、走行中の【ながらスマホ】が増えています。
以下は、平成23年から平成28年までの携帯電話使用による事故の発生状況です。事故発生率は、スマートフォンが普及した平成24年から急激に増加していることがわかります。
◆出典:警察庁 「原付以上運転者(第1当事者)の携帯電話使用等に係る交通事故の発生状況(平成23年以降)」
スマートフォンを使用する、そのほんの数秒のことが大事故に繋がりかねません…。
車間距離をとっていれば大丈夫?
車は数秒間でどれだけ進むのか?
ちょっとしたわき見がどれだけ危険な行為なのか、自動車が2秒間に進む距離はどのくらいか見てみましょう。
警察庁の資料には以下のようにあります。
※秒速(m/s)=時速(km/h)÷3.6で算出。小数点第2以下四捨五入。
◆参照:警察庁 「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」
たったの2秒でも、これだけの距離を進んでいるのです。
ならば、車間距離をしっかりとっていれば大丈夫と思うかもしれませんね。
自動車の速度に対して安全に停止できる車間距離は、速度から15を引いた距離と言われています。
一般道路では大体40㎞/hから50㎞/hで走行しているので、車間距離は40km/hなら25m、50km/hなら35mになります。
これだけの車間距離をとっていれば、スマートフォンの画面を数秒見る分には大丈夫だろうと思ったら大間違い!!
たとえば、その数秒間に、
・前方の車が速度を緩めたり、急停止するかもしれません。
・真っ直ぐに見えている道路でも多少のカーブがあります。中央線をはみ出したり、路肩にぶつかるかもしれません。
・車間距離があいているからと、急に人が渡ってくるかもしれません。
どれだけ十分に車間距離をとっていたとしても、速度を出していれば2秒間に上記のような距離を車は進みます。
周りの状況も逐一変わります。走行中は一瞬たりとも注意をそらせることなく、あらゆる方向に注意しなければならないのです。
【ながらスマホ】の罰則
高速で走行している車は凶器といえます。ほんの数秒が、自身だけでなく他者も巻き込む事故に繋がりかねません。
携帯電話使用等による罰則は、走行中に画面を注視・通話など使用した場合の『交通の危険』と、『保持』の2つに分けて罰則が課せられます。
なので走行中は「持っていただけ」でも罰則があるのでご注意ください。
現状の罰則は
①携帯電話使用等(交通の危険)
●罰則:3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
●反則金:大型 12千円、普通 9千円、二輪 7千円、原付 6千円
●基礎点数:2点
②携帯電話使用等(保持)
●罰則:5万円以下の罰金
●反則金:大型 7千円、普通 6千円、二輪 6千円、原付 5千円
●基礎点数:1点
で、反則金を払えば罰金を支払う必要はなく前科は免れます。
ですが、これだけの罰則があるにも関わらず【ながらスマホ】が減少しないのが現状です。
国会では、罰則の厳罰化を見込み道路交通法の改正を検討しています。
改正案が可決されると罰則は、
①携帯電話使用等(交通の危険)
●罰則:1年以下の懲役または30万円以下の罰金
●基礎点数:2点
②携帯電話使用等(保持)
●罰則:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
●基礎点数:1点
になるようです。
つまり、反則金が無くなり初めから「罰金刑」となるので、前科がつくことになります。
【ながらスマホ】にある「ちょっと返信するだけ」「ちょっと画面を見るだけ」のその『ちょっと』が、あなたの人生を壊すことになるのを忘れないでください。
【あおり運転】による事故の実態と罰則
悪質な【あおり運転】による交通事故も増えています。
あおり運転の定義を警視庁では、
“
「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」とし、危険性帯有者として、点数制度による処分に至らない場合であっても運転免許の停止処分がされる。
”
としています。
【あおり運転】の危険性が注目されたのは、2017年6月「神奈川県大井町の東名高速道路」で静岡市の夫婦が亡くなった事件ではないでしょうか?
死亡事故にも繋がる【あおり運転】ですが、2016年における高速道路での車間距離保持義務違反は6,690件も摘発されています。【あおり運転】は、高速道路に限らず一般道でも起こりえることです。
急いでいたなどの心理から自身が知らぬ間に【あおり運転】をしている場合もありますし、また危険な割込みなどでヒヤリとされた経験もあるのではないでしょうか?
【あおり運転】とみなされる行為
【あおり運転】は警視庁の定義でもある通り、運転免許の停止処分もありえる違反行為です。では、【あおり運転】とみなされる行為はどのようなものがあるのでしょうか?
- 車間距離を狭める
- 異常な接近
- 追い回し
- 幅寄せ
- 無理な割込み後の急ブレーキ
- 不要なハイビーム、パッシング、クラクション
- 罵声を浴びせて威嚇する
などの迷惑行為です。
以上の行為により摘発された場合、
- 車間距離保持義務違反
- 進路変更禁止違反
- 急ブレーキ禁止違反
などの道路交通法違反に該当します。
また、相手を事故・死傷などに追いやった場合は「危険運転致死傷罪」「過失運転致死傷罪」や「暴行罪」として立件せれます。
もし、危険を感じる【あおり運転】をされたり目撃した場合は、ためらうことなく110番通報することを警察庁でも呼び掛けています。
また、トラブルが起きた時の迅速な処理のためにドライブレコーダーを使用し、前方や車内の映像を録画・保存することをおすすめします。
【あおり運転】の罰則
警察庁では【あおり運転】は重大な事故に繋がる違反行為としており、積極的な取り締まりとあらゆる法令を駆使し厳罰化することを行っています。
【あおり運転】の罰則の主なものは以下になります。
『車間距離保持義務違反』
①高速道路
●罰則:3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
●反則金:大型 1万2千円、普通 9千円、二輪 7千円
●基礎点数:2点
②一般道路
●罰則:5万円以下の罰金
●反則金:大型 7千円、普通 6千円、二輪 6千円、原付 5千円
●基礎点数:1点
反則金を払えば罰金を支払う必要はなく前科は免れます。
『進路変更禁止違反・割り込み違反』
●反則金:大型 7千円、普通 6千円、二輪 6千円、原付 5千円
●基礎点数:1点
『急ブレーキ禁止違反』
●反則金:大型 9千円、普通 7千円、二輪 6千円、原付 5千円
●基礎点数:2点
『危険運転致死傷罪』
●死亡させた場合:1年以上20年以下の懲役刑
●負傷させた場合:15年以下の懲役刑
『過失運転致死傷罪』
●7年以下の懲役刑・禁錮刑か100万円以下の罰金刑
【あおり運転】【ながらスマホ】まとめ
走行中は携帯電話・スマートフォンの電源を切る・運転モードにするなど使用できないようにして、【ながらスマホ】を防止しましょう。
着信の多い人や、連絡がつかないと困る人であれば、先方に運転中のため連絡がつきにくくなることや、こちらから折り返すことを前もって連絡しておくなど、安心して運転に集中できるように工夫するといいですね。
【あおり運転】は、運転者が自己中心的な考えで周りのことを考えられない状態になっていると考えられます。
安全な運転を心掛ける上で、「怒り・焦り」といった感情は大変に危険です。
【あおり運転】【ながらスマホ】どちらにしても、反則金を払えば済む問題ではありません。
車を運転する一人一人が「自分の人生・相手の人生が、自分の運転にかかっている」ことを心に留めて、快適な走行ができるようにしたいですね。
※上記は平成30年現在の道路交通法に基づいています。最新の道路交通法についてはこちらをご覧ください。
↓
道路交通法
道路交通法 第七十一条 五の五【運転者の遵守事項】
道路交通法 第百十四条の七【第八章 罰則】